2020年夏、エアコンをめぐる攻防を振り返る

      

2020年の夏は、暑かったですね。

季節は確実に歩みを進め、今となってはあの暑さも、喉元すぎればなんとやら…ではありますが、それにしても、暑い夏でした。

相談室が関わる案件で、今年もいくつかありました、

エアコンを使用しないことによる脱水症状で入院される患者さん。

エアコンを使用しない理由は、それぞれです。

そもそもご自宅にエアコンをお持ちでない方もあれば、節電、節約のためにお使いにならない方もある。 長年使用していたものが故障したり調子が悪くなったけれども、直す手配ができない、頼める人がいない、どこへどうやって頼んだらよいかわからない、といったお一人暮らしの方もありました。多くは、高齢者です。

エアコンの風は身体に悪い、とお考えの方もまだまだ結構いらっしゃいます。 また、認知症の進行により、リモコンがうまく使えず温度調整ができない方もいます。在宅診療や訪問看護でご自宅へお邪魔したら、エアコンから熱風が出ており、なんと暖房が入っていた!という話も、毎年耳にする話です。

名古屋の夏はただでさえ暑く、日中と夜の気温差もあまり無いので、本当に1日中暑い。長年暮らしている方にとっては、慣れ親しんだ暑さかもしれませんが、そうも言っていられません。地球温暖化やヒートアイランド現象によって確実に年々気温は上昇しており、今後も更に進むと言われています。

また今年は、コロナウイルス感染を懸念して、自宅で過ごすことがとても増えました。適切な温度管理や水分補給ができないと、 みなさんご承知おきの通り、室内でも熱中症になるのです。

大げさに言わせていただきますが、いまやエアコンは生命維持に必要な家電だと思います。

こんなに暑い名古屋なので、エアコン設置について、高齢者や経済的な問題を抱えるケースに対しての自治体の助成金といったサポートが無いものか調べてみましたが無さそうでした。購入を考えた場合に、大きなお金をすぐにご用意できない時の相談窓口などはあるといえばありそうです。

MSWとしては、患者さんには患者さんなりのお考えがあることは重々承知ですし、エアコン使用を強要するつもりもありませんが、暑さの中で安全に暮らしていくためにエアコンや、何かしらの冷房装置の必要性について最低限のことはお伝えするとともに、エアコンを使用しない、できない理由を教えていただいて、なにかよい方法がないか、今年も一緒に考えた夏でした。

お一人暮らしや、ご夫婦二人暮らしの高齢者世帯などでは、前述の通り、認知症やこだわりによってご自身で適切な空調管理ができなくなっていることもあると思います。場合によっては命取りになることもありますので、ご高齢のご家族がある場合は、気にかけていただくと良いと思います。

「エアコンは使わん!たっかい(コストがかかる)でいかんわ!」と頑なに仰っていた一人暮らしの患者さん、お気持ちは尊重したいです。ですが、体調を悪くされることも避けたいんです。退院後も様子が気になってお電話してみました。エアコンのお掃除をお友達にしてもらって、その後、エアコン、使っておられるとのこと… (ちょっとホッとしました)

MSWって、結構しつこいんです… 。

さて、季節のめぐりはあっという間、すっかり秋の気配…。寒くなればなってきたで、空調管理はまた違う視点で対応が必要です。例えば、暖房に切り替えたことによる乾燥、ヒートショック、それから湯たんぽ、電気毛布、カイロによる低温やけどなども高齢者に起こりがちですので、ご家族間でも気にしてみてくださいね。

というわけで、本日も、遠くからそ~っと、または、隣でそ~っと患者さんのお手伝いができればと思いながら、業務についております。